第6章 Oasis in the desert
ー和也sideー
「国分さん。起きて下さい。国分さん」
床に転がる国分さんを爪先でつつくけれど…ぴくりとも反応しない。
「やり過ぎたかな…」
『二宮お前…最初から飛ばし過ぎ』
周りの先輩達が楽しそうに笑う。
「そうですか?」
『死んだんじゃねぇの?』
「生きてますよ。ほら国分さん…そろそろ起きろよ!」
国分「げふっ…!」
勢いよくみぞおちを蹴ると…ようやく国分さんは目を開いた。
「おはようございます。よく寝てましたね」
にっこりと微笑んでやると…腫れ上がった瞼の奥から…俺を睨み付ける瞳が見えた。
国分「………どういう事だ。何なんだよお前…」
『よう』
国分「………お前ら…!松本組!?」
国分さんの目が見開かれる。
国分「何で…お前が…こいつらと…」
「頭悪いですね。俺は松本組の人間なんですよ」
国分「………」
俺は縛られた手足を必死に動かす国分さんの周りをゆっくりと歩きながらそのボロボロの身体を見下ろした。
「知っての通り…松本組は昇龍会の会長の椅子が欲しいんです。そしてその器だと思ってます。他の組は認めない。大野組なら…尚更だ」
国分「………ふざけんな」
「大真面目ですよ。だから…中から崩れて頂こうと思いまして。それで国分さん。貴方に最初の協力者になって頂こうと思います」
国分「てめぇ…それで俺に…近付いて…」
「ええ。予想より早く引っ掛かってくれましたけどね」
『ははっ!とんだ変態だなお前』
国分「くっそ…ぶっ殺してやる!!」
『出来んのかよこの状況で』
先輩達がはやし立て、国分さんの怒りが爆発していた。
するとようやく…後ろの暗がりで静観していた彼が…俺達の前に出て来る。
国分「………松本…!」
潤「久し振りだな国分」
国分「………」
潤さんが煙草を吸いながら国分さんを静かに見下ろした。