第5章 Ardent Love
ー智sideー
「バイト?」
慎吾「うん。警備員のバイト。急に1人都合が悪くなってさー。お前来れない?バイト代いつもより良いんだよ」
「うーん…」
昼休み。
おいらと慎吾は大学のカフェテリアで食事をしていた。
「ほら…今ちょっと家がゴタゴタしてるから外出は出来るだけ控える様にしてんだよ…」
慎吾「分かってる。でももうお前しか頼り居ないんだよ。それに屋内だしデカい家だから元々のセキュリティも万全だから。それに俺が送り迎えするから。な?頼む!」
「………」
慎吾が俺の前で両手を重ねる。
………親友に頼まれると…弱い。
「わぁったよ。しょうがねぇなぁ」
慎吾「良かったー!智サンキュウ!」
慎吾が嬉しそうにおいらの肩を抱く。
「それで…デカい家って会社の社長とかか?」
慎吾「はっはっは。聞いて驚け。警察のトップ、警視総監の自宅だ」
「警視総監!」
慎吾「ははっ、お前がヤクザの息子だって知ったらどんな顔すんだろな」
「ヤバいだろ」
慎吾「何かさ、そこの長男坊が大学の内部試験に合格したからそのお祝いなんだってさ。警察関係のお偉方が沢山来るらしいんだわ。だからセキュリティがいつもより強化されるんだと」
「へぇ~おいらとは別世界だな…」
慎吾「何でもさ~この警視総監、暴力団撲滅に力いれてるらしいから。気をつけろよ」
「マジかよ~おいら殺されねぇかな?」
慎吾「ははっ」
おいら達は笑いながら、一緒にバイト出来るその日を心待ちにしていたのだった。