第24章 番外編ー修と智宏ー
「………」
父「修。もう行くぞ」
「うん」
父さんに呼ばれ、合わせていた手を離して立ち上がる。
静かに目の前にある…兄の名前が書かれた墓石を見つめる。
この霊園の中でも一際目立つ…立派なお墓。
暫く待っていた父さんも…気を効かせてくれて先に車へと向かった。
脳裏に蘇る…兄の笑顔。
大好きだった…俺の兄。
いつも天使の様な笑顔で…俺を抱き締めてくれた兄。
15年前の今日…兄は本当に天使になってしまった。
15年経っても色褪せない…兄の顔。
『修』
目を閉じれば…今でも鮮明に思い出す声。
「兄さん…俺…兄さんと同じ歳になったよ?兄さんに…追い付いた…」
気付けば一筋…涙が頬を伝う。
「どうしてここに居るの?うちの墓じゃ駄目なの?何で…そいつと居るの…。俺が死んでも一緒に居られないじゃん…」
手を伸ばし、隣に刻まれた名前を見つめる。
「大野…智…」
ギリッと…爪が食い込んだ。
「連れ出したい。こんなとこじゃなくて…俺と一緒に居てよ…兄さん…兄ちゃん…こんな奴と一緒に居ないで…」
足音が聞こえた。
涙を拭いながら振り返ると…見た事のない男が2人。
大柄な男前と…俺よりも小柄な男。
2人は…俺の顔を見るなりハッとした表情を浮かべていた…。