第3章 抗争勃発
ー智sideー
「すげー人…」
駐車場に群がる沢山の黒塗りの車と人。
おいらの乗った車が入ると同時に沢山の人がこっちに注目する。
「うわ…嫌だ降りたくない…」
松岡「ぼん。しっかりして下さい。1番注目されてるのは間違いないですから。オヤジが昇龍会の会長になれば…次の跡目はぼんなんですよ」
「おいらまだ継ぐ事だって決めてねぇのによ…」
松岡「ほらしっかり」
バシッと肩を叩かれ、しぶしぶと車を降りる。
………視線が痛い…。
皆ギラギラした目付きでおいらを見てる。
聞こえる様な悪口を言う奴等や…大野組に付こうと思ってるのか尻尾を振りながら挨拶してくる奴。
適当にあしらいながらおいらは料亭の入口へと向かった。
松岡「ぼん。私は今日はオヤジの隣に居ますから」
「え?」
松岡「一応若頭ってポジションですから。サポートしないと」
「マジかよ…」
一気に不安が押し寄せ溜め息が出る。
松岡「今日は知念と新入りを付けますから」
「新入り?」
松岡「はい。新入りですが実力は…あ、来た。おい知念!こっち!」
松兄が手をヒラヒラさせながら奥に待機していた侑李を呼ぶ。
侑李「はい!」
侑李と…初めて見る顔がおいらの前にやって来た。
松岡「今日はしっかり頼むぞ。ぼんの護衛と…こいつの教育。大丈夫だな」
侑李「はい!ぼん宜しくお願いします」
「よろしく」
おいらに頭を下げる侑李。
組員として完璧だった。
そしてその隣で一緒に頭を下げる…童顔の男。
………柴犬みてぇ。
松岡「新入りです」
和「………二宮和也です。宜しくお願いします」
「よろしくな」
和「はい」
子犬の様に人懐こそうで穏やかなその容姿とは裏腹に…おいらには酷くクールでドライな雰囲気に見えた。
松岡「じゃあ俺は行くから。2人共頼むな」
侑李&和「はい」
松岡「じゃあぼん後程」
「分かった」
松兄が父ちゃんの元へ行き、おいら達は挨拶の為に3人で会長のじぃちゃんの元へと向かった。