第17章 対決
おいらが松本の家に来るのは…いつ以来だろ。
覚えてないや…。
おいらが来た事で松本組は騒然となっていた。
応接間に通されて暫くすると…松本組長と潤が中に入って来る。
「………ご無沙汰してます」
おいらは立ち上がり頭を下げる。
潤父「まぁ、座れ。楽にしろ」
「はい」
潤「………」
「………怪我はもう治ったのか?」
潤「………お陰様でな」
「そうか」
潤父「で…1人でここに来たのはどんな理由だ。まぁ、聞かなくても分かるがな。その指を見れば」
「………ええ」
反射的に小指を撫でながら…おいらは2人に話を切り出した。
「見ての通り…自分はこの世界から身を引くつもりです。そのご報告にと思いまして」
潤父「成る程」
「これから親父も…昇龍会の会長就任の準備に本格的に取り掛かるつもりです。是非とも松本組にも…きっちりご協力を願いたい」
潤父「ほう」
潤「てめぇふざけた事抜かしてんじゃねぇぞ」
潤のギラギラした瞳がおいらを捕らえて離さない。
「大野組が昇龍会を継ぐ事は現会長の命令です。それに異議を唱え続けるのは…会長に逆らう事。つまりは昇龍会全体を適に回す事です。これ以上…卑劣な手で邪魔をするなら…自分も黙ってません。昇龍会全体を率いて…松本と全面戦争とでもいこうじゃありませんか。そのご覚悟がおありですか?」
潤父「………」
潤「………」
「うちは…自分に代わって松岡に組を任せます。もし松岡が昇龍会を仕切る器でないと仰るなら…お譲りする事も考えましょう。でもそれは…きっちり松岡を見てから判断して頂きたい」
潤「………」
「勿論自分は…松岡が十分その器だと思ってますが」
潤はうつ向いて…唇を噛み締めていた。
潤父「………分かったよ…智ぼん」
ため息と共に松本組長が口を開いた。