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雪の華【気象系BL小説】

第15章 愛する人の為に


ー智sideー


翔「お風呂…上がりました…」


部屋をノックされた後、翔くんがひょこっと顔を出す。


「ふふっ。普通に入っていいよ」


翔「パジャマありがと」


「ううん。小さくない?」


翔「大丈夫」


部屋に入り、おいらの隣に座る。


「ごめんな小さくて。もっとおいらが大きかったらなぁ。ダボダボのパジャマ着た可愛い翔くん見られたのに」


翔「そんなの気にしないよぉ」


「松兄くらいあったらなぁ…」


翔「確かに背高いねあの人。顔も格好いいし…」


「好み?」


翔「うーん…」


「こら。否定しろ」


翔「ふふっ、冗談」


隣で微笑む可愛い恋人の鼻をおいらはちょんと触った。


翔「小柄でも俺には智くんが世界一格好いいから」


「本当に?」


翔「ん」


「ならよし」


くすっと微笑み返す。


「………まさか父ちゃんが…あんな恋してたなんてな…」


翔「うん…」


思い返す…父ちゃんと翔くんのお母さんの恋物語。
父ちゃんを見る目が…少し変わった気がした。


「だから母ちゃんに逃げられんだよな…」


翔「逃げられたの?」


「だな。うちもお見合いで政略結婚だったみたいだしな。でも…おいら産んで直ぐに…うちの組員の男と駆け落ちして逃げたらしい。普通だったら探しだして東京湾だけど…父ちゃんは追わせなかったらしい。何も言わずにすぐ離婚したってじいちゃん…前の昇龍会の会長が言ってた。『あいつは男前だ』ってな。おいらはアホだって思ったけど…父ちゃんのせめてもの償いなんだろうな。母ちゃんの事愛せなかった事への…。今ならそう思う」


翔「そっか」


こてんと翔くんが頭をおいらの肩に乗せる。


翔「これから…どうしよう」


「………好きなだけ居たらいい。翔くんの気持ちが落ち着いたら…一緒に家に行こう」


翔「智くんも…?」


「うん。愛する人の家族の事も…愛したいから」


翔「智くん…」


抱き着いてくる翔くんをおいらはぎゅっとその腕に抱き締めた。
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