第13章 True Love
ー智sideー
父ちゃんが…翔くんの母親を殺した。
それは変えようも無い事実で…。
それを知っておいらは翔くんを捨てた。
ゴミの様に…ポイ捨てした。
そうすれば…忘れてくれると思ったから。
翔くんはその後…相葉雅紀というイケメンと付き合ってたけど…ずっとおいらの事想ってくれてた。
それを知って…おいらも避けていた翔くんの気持ちに向かい合った。
おいらも…ずっと翔くんが好きだった。
愛してる。
忘れる事は…きっと出来ない。
でも…過去の事も…忘れる事は出来ない。
父ちゃんが翔くんの母親にした事。
翔くんと一緒に居たい。
でも父ちゃんがした事は…許されない。
テーブルの上の灰皿を見ると…山の様に煙草が積もってた。
これ…昨日からのやつだよな。
カートンで買ったばかりの煙草が残り後2箱。
「ははっ…このままじゃ肺癌で死にそうだな…」
前髪をくしゃっと掻き上げると…部屋をノックする音が聞こえる。
松岡「ぼん。来て下さい」
「んー?」
扉が開き、少し困った顔の松兄が入って来る。
「どうした松兄。姉ちゃんと喧嘩した?」
松岡「違います。今玄関に若い男が来てて…」
「若い男?」
松岡「あの…櫻井さんと別れてから一度彼が訪ねて来たでしょう。その時一緒に居た男です」
「あ…相葉…?」
何であいつが…。
松岡「今知念が相手してるんですが…大野智を出せと聞かないもんですから」
「………しょうがねぇなもう…」
おいらは立ち上がり、松兄と玄関へと向かった。
玄関に近付くにつれ、組員が増えていき侑李と相葉の声も聞こえてくる。
侑李「帰れっつってんだよ!」
雅紀「お前に用は無いんだよ!早く大野智を出せ!時間がねぇんだよ!!」
「何してんのお前…」
組員を制止ながらおいらは相葉の前に出た。
雅紀「お前っ…ここで何してんだよ!」
「は?」
雅紀「翔ちゃんお見合い相手と今から会うんだよ!いいのかよお前!」
「お見合い…?」
翔くんが…お見合い…。
雅紀「あんだけ言ったのに何2人共グダグダしてんだよ!!」
「………」
雅紀「気持ちが大事だろ!!本能で動けよそんなもん!!好きなんだろーが!!」
「本能…」
その瞬間…おいらの足が動いた。