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雪の華【気象系BL小説】

第12章 10年前の真実


ー智sideー


「うーん…」


かれこれ1時間…キャンバスの前でにらめっこしてる。


今年の学園祭に出す予定の作品を書き始める時期。
けれど…おいらだけまだ手付かずの状態だった。


作品に集中出来ない…。
学園祭…。
去年の学園祭で…翔くんに出逢った。
キス…した。
あんなキス…初めてだった。


キス…。
数日前に見た…翔くんと知らない男とのキス。
おいらに敵意剥き出しだった奴…見覚えはない。


おいらから振ったのに…。
忘れかけてると思ったのに…。
他の奴の物になってると思ったら…何とも言えない気持ちになった。


逢いたい…また逢いたい…。


「あーくっそ!!」


思いきり筆を床に投げ付ける。


カランカランと音を立て…筆は入口の方に転がっていった。


慎吾「智どうした」


「慎吾。いや…大丈夫ごめん」


慎吾「まだ書けないのか。大丈夫か」


「平気だから…」


慎吾が拾ってくれた筆を拾った。


「サンキュ」


慎吾「大丈夫。あのさ、お前にお客さん来てるぞ」


「お客さん?」


慎吾「うん。1階の講習室で待ってもらってる。行ける?1人だし…多分そっちの人じゃないと思う」


慎吾が言ってるそっちの人とはおいらと同じヤクザって事。
幼馴染みの慎吾だけは…その事を知っている。


「分かった行くよ。ありがと」


おいらは慎吾を残して1階の講習室へ向かった。


扉を開くと…いくつかのテーブルがあり、何組かの生徒が休憩したり、予習をしていたり様々だった。


1番奥の席に座った男と目が合ったおいらは…そこまでスタスタと歩いて行く。


男も…おいらを見て立ち上がる。


「どうも」


頭を下げるその男は…あの日翔くんとキスをしていた男だった…。
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