第11章 再会
暗がりの道を…家に向かって歩く。
歩いて15分程の距離の筈なのに…長い長い道に感じた。
雅紀との5ヶ月は…楽しかった。
楽しかったけど…それは今までの雅紀との関係と変わらなかったからで…。
雅紀とキス以上の関係に進めないのも…智くんの事…忘れられないからだと思っていた。
まだ智くんを愛してるからだと思ってた。
でも本当は…違ったんだ。
智くんを忘れられない以上に…俺は…雅紀を恋人として見ようとしてなかった。
友達以上に見なかったから…。
寂しかったから…付き合っただけ…。
俺のせいで…雅紀を失った。
大切な親友を…俺は自分のわがままで失ってしまったんだ。
雅紀『ごめん…もう帰って…。暫く翔ちゃんの顔…見たくない…』
部屋を出る時に見た…雅紀の背中は震えていた。
もうきっと…俺にはあの笑顔を見せてはくれない…。
いつも側に居て手を差し伸べてくれていたあの笑顔…。
俺が…奪ってしまったんだ…。
「っっ…雅紀…!!」
口元を押さえながら俺はその場にしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい…雅紀…!」
涙を流しながら…俺は何度も雅紀の名前を呼んだ。