第7章 ○溢れる想い〜後編〜（海堂薫）完結

-越前side-

ﾎﾝﾄ…布施に
あんな事したんだし
嫌われて無視されること位
覚悟してたんだよね
なのにさ

『リョーマ～！おはよ♪』

布施は何もなかった様に
俺に笑いかけてきた
部活にも普通に顔出すし
正直驚いた
ただ違うのは

『ね～昨日ね♪薫と…』

愚痴が無くなった事
ふ～ん…すっかり
満たされちゃってるわけね
海堂先輩の警戒は
相変わらずｷﾂｲけど
布施も相変わらず
無邪気に笑ってる

「おい越前」

「なんッスか？」　

「奪えるもんなら奪ってみろ」

なるほど…自信満々なんだ

「ちぇっ…ﾎ～ﾝﾄ…ヤな先輩」

海堂先輩は何も言わず
走りに言った
俺は見送る布施に近づき

「布施、ｺﾞﾒﾝ…な？
もうしないから…」

小声で言った

『そんな顔しないでよ♪私たち
友達じゃん♪』

笑顔で返してきた
本当に嫌～なカップルだよね
お互い相手しか見えてないって
事がｲﾔってくらい
伝わってくるじゃん
全く、性質が悪い…

こんなの見たら諦めるしか
ないじゃん…
ったく、俺だって本気だったのに
結局、我慢し続けた
海堂先輩の粘り勝ちか
はぁ…
まだまだ…だね？