第4章 乃亜の場合
同時刻。乃亜は一人、ガタガタ揺れる電車に乗っていた。
すでに四時間ほど乗り続けているのだが、乃亜がその事実に気づくことはなかった。
乃亜が電車に乗り込んだのは、夕方の六時頃。
いつもと同じ時間に部活が終わり、乃亜はいつもと同じ電車に乗った。
乃亜の部活は吹奏楽部。
学校の中でもっとも体力をつかう部のひとつであり、みっちりと練習してきた乃亜は、すっかり疲れはてていた。
ガタンガタンと一定のリズムを保っている電車に揺られているうち、乃亜は強烈な睡魔に襲われた。
始めはなんとか起きていたものの、結局眠ってしまった。
そしてそのまま起きることなく、十時となってしまった。
しかし、今だ電車は駅につかず、走り続けている。
一度も駅に止まっていないにも関わらず、電車の中に乃亜以外の人の姿はない。
その時。
♪~♪♪~♪~♪♪~
突如鳴り出すケータイ。
「!?」
乃亜がその音に跳ね起きる。
ずり落ちた眼鏡を直しつつ、乃亜は電話に出る。
『うぃっす、乃亜』
電話から聞こえてきたのは、親しい友人の声。
「・・・なあに?」
『今の状況、すぐ話せ』
「ええ?」
『いいから』
「・・・そぉねぇ~。だぁれもいなぁい」
独特な話し方で、言われた通りに回りの状況を伝える。
『まじか・・・。おい乃亜、今すぐオカ板チャット行け。おれの知り合いに助け求めろ。電気持ったいねえから、電話はかけてくんなよ。あ、お守りはちゃんと持ってろ』
「わかったぁ、バイバァイ」
そう言って、乃亜は電話を切る。
乃亜はオカ板にアクセスすると、すぐにチャットに書き込んだ。