第7章 離さない、……。
「最近、牡丹さん見かけないですねー。」
「そうですね。」
「また、オレ達と遊んでほしいっすよねー。」
…牡丹が相手をしたのは、執事なのか。
声の主からすると、白田と赤川だな。
僕は、無意識に握り拳に力を入れていたのか、爪が食い込み血が出ていた。
何度も気絶させるほど、牡丹を懲らしめて自分の心も納得したと思っていたが、全然足りてなかったらしい。
「牡丹さん、ハヤトさん出かけてていなかったのに、助けを求めていて可愛かったですよね〜!」
「来もしない助けを求める牡丹さんの姿はとても滑稽で、私も久々に他人の哀れな姿を見れて楽しかったです。」
「また3人で、ハヤトさんお出かけの日に襲おうぜ〜!」
「賛成です。」
…牡丹の言っていたことは本当だったんだ。
牡丹は、僕を裏切っていなかった。寧ろ犯されていたんだ。
裏切って傷付けたのは僕の方じゃないか。
なんで僕は信じてあげなかったのだろうか。
…悔やんでももう手遅れだ。
僕は牡丹を傷つけた。