第8章 離さない、寂しいよ。
「失礼致します。」
ハヤトの命令でメイドはダイニングを出る。
牡丹は他のメイドに隠れながら、息を潜めダイニングを出ようとしていた。
「牡丹さんは残って。」
「え、あっ…はい。」
ハヤトに歯向かうことはできず、言われるがままダイニングに残る。
真実を知ったハヤト、お仕置きをされて嫌な思いをした牡丹。
二人の間には微妙な空気が流れる。
思い返せば、二人っきりになるのはあの日以来。
あんなことをされ、牡丹はいつものように接することが出来るわけがなかった。
「…きちんと話すの、久々だね。」
「は、はい、」
牡丹は、ハヤトに怯え声が震えていた。
目には涙を浮かべ、扉の前から動こうとしない。いざとなったら、すぐに逃げれるようにだろうとハヤトは考えていた。