第8章 離さない、寂しいよ。
「ほら、いつまで寝てるのです。」
「…ん、」
牡丹は黒井に起こされ、目を開ける。
「久々に姿を見せたと思ったら、寝坊とか、やってられないわ。
…ただでさえ、執事が何故か全員辞めてしまって大変だと言うのに。」
「…え?」
黒井はブツブツ呟く。最後の言葉は声が小さく、聞き取れにくかったが、執事が辞めたらしい。どうしてかは、黒井にもわからないらしい。
私だってされたくて拷問されたわけじゃないのに!!牡丹は心の中で叫ぶ。
牡丹が起き上がる前に既に部屋から出ていた。
腰は鈍く殆ど感覚がなかった。
「いったあ、、。」
牡丹は服は着ていたので、ボサボサの頭を整え、重たい腰を上げ立ち上がる。
立つのすら困難なのに、歩くとなると尚更辛そうに顔をしかめる。
ドアノブをひねり、扉を開ける。
「おっと、。」
「失礼致しました!」
痛みのあまり下を向いて歩いていたら、誰かにぶつかってしまった。
牡丹は顔を上げ、全身が凍りつく感覚に襲われる。
「牡丹…。」
「ハヤトさ…ま、」