第6章 生命
走った。暗闇の中を。
紫色の思いを抱えて。
いた。
暗闇から見える小さな光。
俺らがいつも小さい時からいる俺らの部屋。
部屋には、大事な弟が、二人いた。
「お前本当はいらない存在なのに、カラ松じゃなくてお前がいなくなれば良いのに!!」
「っ………黙れよ、いなくなれば良い兄弟なんて全員言えることじゃないか。カラ松兄さんが意識不明なのは、みんなのせいだ!!」
お前本当はいらない存在なのに。
かつて銭湯でチョロ松がトド松に発した言葉だ。
何言ってんだお前ら。
いなくなれば良い兄弟なんていない。
だって______
「俺達は、六人で一つ。そうだろ、ブラザー?」
勝手に言葉が出た。
その事だけは二人に知っていて欲しいから。
「カラ松兄さん…」
「カラ松…」
二人は泣いてはいなかった。
だけど凄く悲しそうだ。
死にそうな位窶れた顔だった。
こんなことになったのは、誰が始まりだったんだ?
長男の癖にふざけてばかりいるおそ松か?
真面目にしている振りをして結局何もしていないチョロ松か?
猫と戯れてばかりで皆から離れる自分勝手な一松か?
いつも奇想天外な行動を取る十四松か?
悪知恵を使って悪徳ばかりのトド松か?
それとも
優しい素振りを見せて自分が可哀想と愚かにも思う俺なのか?
「ごめんなさい、カラ松兄さん。僕たち、いらない存在なんかじゃない。」
「だから めて、カラ松、カラ松は の ……」
上手く聞き取れない。
赤い刃物の音が聞こえたから。
後ろを振り向くと、オレンジの袖の兄弟がいた。