第4章 散歩
「ニャー」
「おぉ!猫!」
一松は俺を路地裏に連れてってくれた。
路地裏にはたくさんの猫がいた、それもみんな人懐っこい。
「お~よしよし」
一松は路地裏に胡座をかくと猫が一松の足の上に乗った。
きっと、一松が毎日のように可愛がっていたんだ。じゃないと猫はこんなになつかない。
俺が一歩歩くと猫はびくっと脅え、一松に集まった。
「大丈夫、怖くないから大丈夫。」
一松はそうやって猫の顎を撫でた。
俺も胡座をかいて猫を撫でると、びくつきながらも俺のところに寄り添って来てくれる。
「可愛いだろ?」
一松は笑顔だった。
まるで子供の時を思いだすかのような綺麗な笑顔だった。
猫がいるときには、そんな笑顔なのか。
この綺麗な笑顔、早く気付いてあげられたら良かったのに、
俺は一松の頭も撫でた。
「一松……久しぶりに笑ったな!!」
「笑ってない!」
「笑ったぞ!」
「………笑ったの…かな…」
一松は自分の口に触れた。
一松の目にはかすかな涙が零れた。
「一松ッ?」
「いや…目にゴミが入っただけ」
「そうか……」
「もう帰ろ。」
気づくと、今は夕方だった。
オレンジ色の夕焼けがなんとも綺麗で見とれそうだった。