第4章 信頼関係
「いいじゃねーか、谷矢(たにや)。」
「オレとしてはよくないが…。若だから、許すとするか…。」
「おい、それって…オレだったら許さねぇってことだな。」
「ご名答。」
「おまっ…。」
谷矢という人物に苦笑をしてしまう虹村。そう、赤司が彼と呼んでいたのは、谷矢のことだった。オレンジ色のショートヘアーが特徴である谷矢 悠(たにや ゆう)。赤司の召使いである。
「若、先程の連絡で人間との戦闘が始まったようです。」
「そうか…連絡ありがとう。」
谷矢は、手元にあった資料を赤司に渡す。赤司はそれを受け取り目を通すのだ。そこには、戦闘での詳しい情報や経済について書かれていた。
「そういや、誰が行ってるんだ?」
虹村は、ふと疑問に思ったことを谷矢に質問をした。あぁ…と声を出しては質問に答える。
「リーダーを取ってるのは、実渕だ。彼の実力なら、1人だけでも十分だ。若、オレはこれで…。」
「あぁ、ありがとう。」
谷矢は、赤司の前で一度お辞儀をし、また扉の前でもお辞儀をしては、失礼いたしました…と一言言ってから部屋を出て行った。
「アイツも大変だな…。」
虹村は、谷矢の様子を見てはそんなことを呟いていた。赤司は、一通り見てからまた書類に記入し始めたのだった。
部屋から出た谷矢は、窓から見える空を眺めていた。それも、何処か遠い目をしていた。何を思いつめているのか、誰にも分からない。
―――君は、今頃…何をしているのか…。なぁ…答えてくれよ。届きそうで届かない場所…。オレのこと、忘れてたりしてな…。まぁ、それでもいいさ…。君が生きているのなら…。そ、生きているの…なら…な……。