第7章 護るべき者
戦いは更に激しさを増していった。各それぞれ、同盟を組んでの戦争だ。一つ一つの戦闘が大きくなってきている。頭首である結紀は、指示を出し昴輝に任せていた。
暫くして、戦闘が落ち着いた頃だった。死神族と組んでいる鳳凰族の会議室で、谷矢が赤司に言った。
「若、オレに吸血鬼族の領土に入る事を許可してください。」
谷矢の言葉に、その場にいた赤司、虹村、実渕の動きが止まった。谷矢の言葉はあまりにも突然だった。だが、赤司の表情は冷静のままだった。そして、赤司の口が動く。
「分かったよ、谷矢の考えがあって言っているのだろう。」
「マジか!?赤司…?」
「あぁ。」
赤司が許可を出した事に驚きの表情をする虹村。それに、対して谷矢は僅かに口元を緩ませていた。どこか嬉しそうな表情だったのだ。
「ありがとうございます、若。」
「報告を待っている。」
「はい。」
谷矢は赤司に頭を下げて、会議室を出ていった。赤司は谷矢の背中を見守っていた。会議室を出ていった谷矢は、吸血鬼族の領土を入る為の準備を済ませ、鳳凰の特徴である翼を広げ、吸血鬼族の領土に向かって飛んで行った。
吸血鬼族では、鳥族と同盟を結んでは戦闘をしていた。やはり、かなり激しい戦いが続いていたのか、皆は疲れきった表情をしていた。勿論、指示を出している結紀そうだったが、表情が出なかった。それを見ていた彰が結紀に話し掛ける。
「ねぇ、フード。眠った方がいい。」
「大丈夫……。出掛けてくる。」
そう言って結紀は席を立つ。それを見ていた昴輝と彰は、結紀の護衛をする為、あとをついていく。