第15章 カーニバルの夜
涼『智。 ほら。 いいから。
震えてる。
いいんだよ。 忘れなくて…。
大丈夫。 潤くんは来るから。
きっと来てくれるから。 ね?』
抱きしめながら子供をあやすかのよう
に頭を撫で続けていると泣き疲れたみ
たいに眠りについた。
ただ抱きしめたままで俺も眠りにおちた。
そして、本当に松本が戻ってきたとメ
ールが来たのは翌朝の事だった。
…ったく。 遅すぎんだよ……
俺だって…やっぱり手に入れかけた、
この可愛すぎる相棒を手渡すには
簡単じゃないんだから……
そうつぶやくように言って松本に
イタズラに試練を与えるメールを返
して、
大野の赤らんだまぶたを指でそっ
となでた。