第8章 7月7日、合宿1日目!
私たちが体育館に戻ると、烏野のみんなは試合に負けたらしくペナルティのフライングをしていた。
フライングとは空中でボールを拾う「フライングレシーブ」の動きで、手→胸の順で床に滑らせるんだけど、今回はそれをしながら体育館1周するみたい。
今回集まっている高校は、前から名前が出ている東京の音駒高校、神奈川の生川(うぶがわ)高校、埼玉の森然(しんぜん)高校、東京の梟谷(ふくろうだに)学園、そして烏野高校の5つ。
私は各学校の顧問に挨拶をするために体育館を走った。
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試合と試合の合間に挨拶にいったのでその間に何回か試合を見たり、他校の話を聞いたりしていたので学校の特徴がみえてきた。
まずは生川高校。
ここはサーブに力を入れている学校で練習のラストにサーブ100本練習するらしい。
仁花ちゃんが「腕もげるっ!」って怯えてた。
次は、森然高校。
コンビネーション技が得意でトスが上がった瞬間何人かが一斉に動き、誰が攻撃を仕掛けるのかわからなくさせるシンクロ攻撃を得意としている。
仁花ちゃんは人があっちこっちから飛び出してくるのを見て目を回してたっけ。
梟谷学園は、全国5本の指に入るエースがいる最も強い学校。
先ほどの試合で、エースがスパイクを打った時に横を通っていた蛍君がボールと接触しそうになり、手を出して避けていたんだけど、後から見たらボールが当たったところが真っ赤になっていた。
普通ならば不意打ちでもここまで赤くはならない。
それほど強力なスパイクを打てる子がいる学校ってこと。
音駒はセッターにとにかく繋げる。そんなチーム。
ボールをつなぐ為に絶対に落とさない。
必ず拾ってセッターに返す。
基本なんだけどそれがしっかりしていないと試合では勝てない。
ぶっちゃけこの合宿では烏野が1番弱い。
実際何回も試合をしているが1セットも取れていない。
烏野の調子が悪いわけではない。
せめて日向くんと影山くんがいれば…
そんなことを思った時だった。