第33章 決勝戦vs白鳥沢
「いまの翔陽、助走入れただけ?」
首をかしげながら聞く冴子ちゃんに明光さんが答える。
「助走の有無で場合によっては20㎝とか30㎝とかジャンプは変わってくるよ。
けど今のジャンプ、スパイク打つかと思ったよ!」
明光さんは興奮したように冴子ちゃんに説明をしている。
「翔陽ホレ直したっ!毎回やれば良いじゃん!」
そう興奮して言う冴子ちゃんにセンパイ2人が正論を唱える。
「いやいやいや!あれだけガッツリの助走は早い攻撃には対応できない!」
「つーかブロックの度下がって助走つけるなんてスタミナ的に無理だろ!」
日向君がスタミナ豊富だからって毎回助走ありのブロックはさすがにきつい。
「なんだよ大人共!」
興奮した気持ちをぽっきり折られた冴子ちゃんがセンパイ達に向かって声を荒げる。
『でもそうだよ。日向君、蛍君のポジションのミドルブロッカーってコートの中をただでさえ飛び跳ねるポジションなの。日向君は身長が低めだからボールを取るために常に全力でジャンプしなきゃいけないし、囮として人一倍動き回ってる。』
「滝ノ上もミドルブロッカーだったけどいっつもどうサボるか考えてたもんな?」
「そうそう!」
『滝ノ上センパイ…』
烏養監督がいるのを忘れていたかのように自信を持ってうなづいた滝ノ上センパイは失言だったと顔を真っ青にして口を押さえ、それをみて嶋田センパイは笑っている。
「上手くサボるなら何の文句もねぇよ…」
烏養監督はそんなセンパイ達を見て笑っていた。