第33章 決勝戦vs白鳥沢
「シンクロ攻撃が止められた…!」
みんな悔しそうに顔をしかめる。
「さっき東峰のスパイク止めた12番、スパイクをレシーブしたあとの澤村の体勢が完全に戻っていないことを確認してスパイカーが少ないライト側の攻撃を瞬時に切り捨てた…んだと思う。」
「ライトの澤村の攻撃の可能性が0だったわけじゃないけど、強引にライトに振る確率は低い。」
「こういう時の一瞬の判断はさすが強豪の経験値って感じですかね。」
『おっ!』
「コンビネーション解説!」
流石バレー部OBと感心していれば、後ろから少し呆れたような声。
「昔っからそんくらい考えてくれりゃあなぁ」
後ろから声が聞こえた。
この声は……
私を含む烏野バレー部OBは後ろを振り向き勢いよく挨拶をする。
『一次予選ぶりです、烏養監督』
そう、烏養 一繋元監督。
「お前らホンット考える前にボールに飛びついてる感じだったからな。」
そう笑う烏養監督にOB達は怯えてる。
「いっ…いっぱいいっぱいだったんですよ!
強いスパイクを打つ!とか
サーブを入れる!とか
レシーブをちゃんと上げる!とか
こう単品のプレーに!」
滝ノ上センパイは必至の言い訳。
嶋田センパイ、明光さんは目も合わせられないくらい怯えてる。
烏養監督は近くの空いている席に座りコートを見やる。
「相変わらず良い面子揃えてんだろうなぁ鷲匠先生。」
昔からそうだ。
烏養監督が現役の時に白鳥沢と練習試合をした時もコンセプトの違いからか監督同士火花を散らしていた覚えがある。
そのやりとりがものすごく怖かったのをいまでも覚えてる。
牛島君のスパイクがまた決まる。
ブロックを止めれなかった蛍君が悔しそうに下を向く。
それでも烏野のみんなはボールに食らいつく。
蛍君がブロックで注目を浴びる中、日向君も感化されたのかスパイクを打つようにコートを駆け
跳ねる。
いつものブロックより高く飛んだ日向君は
スパイクをうまくブロックし、ボールを叩き落とした。