第33章 決勝戦vs白鳥沢
「「「よっしゃぁぁぉあ!」」」
烏野側のベンチには昨日より明らかに多い応援が集まっていた。
「集めに集めた烏野商店街&OB応援団総勢22名!
まずは応援から白鳥沢に勝ぁつ!」
そうみんなの方を向いて言ったのは滝ノ上センパイ。
気合いを入れて会場に入ると圧倒されるような白鳥沢の応援。
応援団にチアリーダー。
一気にテンションが下がる滝ノ上センパイ。
「えー、何。イミワカンナイ」
「俺たちが狼狽えてどうする!
アイツらをみろよ!堂々としたもんじゃねえか!」
言われてコートを見ると…
日向君はお腹を抱えてトイレに行こうとするし、山口君と東峰はお腹を抱えて胃薬を求めている。
影山君はセンターコートに目を輝かせ、田中君、西谷君はチアリーダーを見てテンションおかしくなってる。
チアが羨ましいってなんだ羨ましいって。
澤村君はそんなみんなを見て怒ってるし、武田先生はみんなに落ち着いてって言っているが先生の方が落ち着いてほしいくらい動揺してる。
うん、いつも通り。
「ちょっと来なよ!」
トイレに行っていた冴子ちゃんが戻ってきたけど…
誰か人を引っ張ってきている。
『ん?どうしたの冴子ちゃん?』
「怪しいものじゃないですってば‼︎」
「不審な奴がウロウロしてて見てたら逃げたから捕まえた!
白鳥沢のスパイかと思って!」
帽子にマスク、サングラス。
完全に怪しい。
でも私はその人に見覚えがあった。
『明光…さん?』
「椎名さん?よかった…知ってる人がいて。」
不審人物を見つめ嶋田センパイが呟く。
「….だれ?」
『蛍くん…月島君のお兄さんです!』
「月島蛍の兄です!」
そう言い、明光さんはサングラスとマスク、帽子をはずした。
「月島の兄貴ぃ⁉︎」
大きな声を出した嶋田センパイに向かって人差し指を立て静かにしてほしいと頼む明光さんは小さな声で来るなって言われてるんですと弱気に伝える。
ふとコートを見ると明光さんが来たことに気づいたのが蛍君がなんとも言えない目でこちらを見ていた。
明光さんは観客席の手すりのついた壁より下までしゃがみ、蛍君から身を隠している。
いや、もう遅いと思う…