第31章 代表決定戦2日目〜因縁の対決〜
タイムアウト後も狂犬君の調子は戻らず仲間からの声がけにも耳を貸さない。
ついに狂犬君はメンバーチェンジされ、ベンチにもどらされた。
試合が進む中狂犬君と矢巾…君だっけ?
真下のウォームアップエリアで話をしている。
矢巾君が諭している…のかな…
すると矢巾君が狂犬の胸元をつかみ壁に強く押し付けた。
鈍いドンという音が聞こえた。
観客席から死角になり本人たちは見えない。
「先輩の晴れ舞台に泥塗ったら絶対に許さねえからな」
先ほど声をかけられた時とは違う。
低い声。
本気だ。
そのあとウォームアップエリアに戻った狂犬君の顔はさっきよりも落ち着いているみたいだ。
このやりとりを見ていたのか、青城の監督は狂犬君をコートに戻した。
どちらのチームが勝ってもおかしくない。
みんな試合で少しずつ試合で成長している。
及川君は次の攻撃で早速狂犬君を使う。
指名された狂犬君は超インナースパイクを放つ。
コートからはじき出され飛ぶボール。
狂犬君…京谷(きょうたに)くんはさっきコートから外された時とは表情が変わっていた。
今まではチームの異物だった京谷君がチームに染まっていく。
仲間からの賞賛を得る。
信頼を得る。
それだけでプレーが変わっていく。
私は鳥肌がたった両腕をさすり、試合を食い入るように見続けた。