第30章 代表決定戦2日目
コートがざわつく。
みんなが澤村君に駆け寄る。
空気が凍る。
観客席もざわついている。
きっと私の顔も血の気が引いて真っ青になっているだろう。
それに気づいたのか近くにいたらしい及川君に肩を叩かれた。
「今の、接触…だよね?
主将君いま結構な勢いで顔打った。」
「まじか」
澤村君は自分で体を起こす。
繋心センパイがコートに走る。
「どこ打った!」
必死な声。
澤村君の声は聞こえないが左頬に明らかな打撲のあと。
観客席からでもわかる。
武田先生が頭を打っていないか見ているようだ。
潔子ちゃんはタオルとティッシュを持って駆けつける。
澤村君は試合に出たいがために大丈夫と叫んでいる。
でも無理だよ。
医務室で異常がないか調べてもらわなければ次の試合にも出れなくなってしまう。
武田先生が澤村君の肩をポンと叩き話をしている。
澤村君…悔しそう。
歯を食いしばっている。
最悪の状況が頭によぎる。
潔子ちゃんに付き添われ医務室に向かおうとする澤村君がとっさに口元を押さえる。
血…?
口切った…?
いや、今何か吐き出した…
もしかして歯折れてる⁈
「主将くん、場合によってはこの試合無理な可能性あるね…
監督判断次第だけど。」
「もし、脳震盪起こしてたら怖いからな。」
阿吽の2人の声に無意識に体が硬くなった。
繋心センパイが付き添うようで、武田先生に何かを話している。
今後の試合についてだとは思うけど…
そんな時澤村君と接触した田中君が謝るために頭を頭を下げ….
ようとしたら逆に澤村君にフォローされているようでバンバン腕を叩かれている。
澤村君は東峰君に近づくと肩をぎゅっと掴み、何かをつぶやく。
3年生の顔が真剣になる。
そして繋心センパイに付き添われ澤村君は体育館を出て行った。
「私行ってきます!」
そう言い、仁花ちゃんは観客席から離れていく。
澤村君が抜けた今代わりに誰が入るのか。
及川くんと岩泉くんは誰がメンバーに入るか気になっているみたい。
でもここで入れるのは烏野だったらあの子しかいないだろう。
そう、背番号6番
縁下 力(えんのしたちから)君。