第30章 代表決定戦2日目
烏野レシーブから始まる。
日向君、影山君の速攻が決まり、会場がざわめく。
嶋田センパイと仁花ちゃんが、烏野すごいんだぞとでも言うように悪どい顔で笑う。
でも和久谷南はあわてる様子はない。
この速攻も有名になって来たみたいだ。
速攻に対する対策が練られているみたいだ…
「あの速攻で驚かないなんて…」
ぽつり、嶋田センパイが呟いた。
速攻に対してイマイチな反応なため厳しい顔をしている日向君に澤村君が何か言っている。
あ、日向君テンション上がり始めた。
試合が進むにつれて和久谷南も様々な攻撃を仕掛けてくる。
時間差?
人の後ろから回り込んでのスパイクや、ブロックアウトを狙ったスパイク。
打ち込んでも打ち込んでも向こうからも打ち込まれ点差がなかなか離れない。
特に和久谷南のキャプテンの中島くん。
スパイクの角度かな?
うまくは言えないけど絶妙なところを狙って打っている。
コートを見ると中島君をみる蛍くんがすごく嫌な顔してる…
そりゃああんなスパイカー嫌だよね…
自分のブロックが相手の攻撃のために使われるなんて。
日向君の超速攻でのスパイクがきまると中島君が挑発するように仲間を褒める。
日向君はその挑発につられてるみたいだけど澤村君がうまくフォローしてるみたい。
「和久南(わくなん)は日向に対してとりあえず1人コミットでブロック飛ばすけど深追いはしないってパターンかな…」
嶋田センパイは腕組みしながら考えている。
止めるというよりコースを絞っているのかも…
まぁ日向くんの速攻はまだ止められていないもんね?
でも好き勝手にはしておけない。
『烏野の持ち味は日向君だけじゃないですよね?』
私の言葉に応援席のみんなは力強くうなづいた。
その言葉通り、エースの東峰君が2枚ブロックを打ち破る。
澤村君と東峰君が嬉しそうに拳を合わせてるけど…
うん…痛そう。
そのあとも東峰君のスパイクがどんどん決まっていく。
少しずつ点差が開いていく。
った。
しかし中島君が髪の毛を束ねているスパイカーに耳打ちするとなぜか客席をキョロキョロしテンションが上がっていく。
さすが部長。
部員のテンションの上げ方を心得ていれる
中島くんがコートで叫ぶ。
「粘りの和久南!こっからが真骨頂だぜ!」