第29章 代表決定戦1日目
代表決定戦前日。
私は蛍君と2人部屋にいた。
明日は試合だからって言っても聞かなかった蛍君。
今日は早めに帰るようにって言ったら渋々了承してくれた。
取り決めた時間まであと少し。
いつものように蛍君の足の間に座り適当につけたテレビを見る。
「夏乃さん、明日来るんだよね?」
『うん行くよ?』
そのためにここ最近いつも以上にあった仕事と並行しての取材許可の申請頑張ったんだから。
すると蛍君は私の肩に腕を回し抱きしめた。
かと思ったらすぐに体が離れていく。
シャラッ
首に違和感を感じ見てみると…
『これ、お揃いのネックレス…』
東京に行ったときに、蛍君に渡したネックレスが私の首に掛かっていた。
「持っててくれませんか?」
顔を見られたくないのか私の頭に顎を乗せてくる。
「願掛け…ってわけではないんですけど…
持っててもらったらいつもより頑張れそう…なんて……」
そんな風に話す蛍君が可愛くてついつい笑ってしまう。
『変わったね?蛍君。』
どうして部活なんて一生懸命やるんだ。
絶対1番になれない。
なんて言ってたのに。
『明日、頑張ってね?
ずっと見てるから。』
私は振り返ると蛍君を見つめ、手を取り
手のひらに口づけをした。
手のひらへのキスは
『懇願』