第22章 怒涛の東京出張‼︎1日目
私達は別室に通され、より詳しい話を聞くことになった。
急すぎてモデルの手配が厳しいこと。
できればみんなにモデルとして本誌に出てもらいたいこと。
今回のデータは、他のことには絶対流用しないこと。
モデルの仕事は今回1回きり。他社からのモデルの問い合わせについては絶対受けないこと。
そして最後に、しっかりモデルのバイト代は出ること。
これを伝えた。
「いいような気はするんだけど…なんか足りねーんだよなー…」
そう呟いたのは鉄朗。
もしやバイト代上乗せ⁉︎なんて考えていたらリエーフ君が意外なことを言い出した。
「かのさん。モデルやる代わりにオレのお願い1つ聞いてくれる?それだったらやるー!」
「それいいな!夏乃サンが言うこと聞いてくれるんだったらやるやる!」
「いいですね…」
「それで決定で!」
『私の意見は?』
「聞きませーん!」
楽しそうな声の一ノ宮が私に笑いかける。
『ちょっ、一ノ宮!みんな⁉︎』
そんな中、浮かない顔が1人。
蛍君。
『蛍君はどうする?やりたくないんだったら他のメンバーにやってもらっちゃうけど…』
「………やる。」
『え?』
「やらないなんて言ってないじゃん。」
ツンデレか。
『やってくれるの?蛍君!ありがとー‼︎』
嬉しくなった私はテンション上がっちゃって蛍君に抱きつく。
「ちょっ、夏乃さん!周り、みてる!」
蛍君に言われ私は周りに人がいたことを思い出し、離れた。
この一連の流れを見て、一ノ宮が嬉しそうな、何かを企んでいるような顔をして笑っていたことに私は気がつかなかった。