第14章 夏の長期合宿3日目‼︎
走り去る小さな背中を見ていれば、私は黒尾くんに名前を呼ばれる。
「そーいやーさー。椎名さんって下の名前「かの」って言うんだよな?」
『そーだよー』
「字は?」
私はテーブルに指で書きながら説明する。
『季節の「夏」に乃○坂46の「乃」』
蛍君はふと気付いたようで…
「冬乃先輩も季節の「冬」に「乃」ですよね?」
『うん。夏生まれだから夏乃。冬生まれだから冬乃。わかりやすいでしょ?』
「ってことはもうすぐ誕生日じゃね?」
私はカレンダーを見て、日付を確認した。
『来週だね?』
その声を聞いた蛍君が何ソレって感じの顔で私を見てきた。
「…その情報、聞いてないんだけど…」
『そうだっけ?』
「合宿中じゃねーのかよー!」
『しょうがないじゃない。私自分の誕生日と合宿の日程被らせられるほど偉くないもん。』
「今何時だー?」
黒尾君が、おもむろに時間を聞いてきたのを赤葦君が答える。
「9時半ですね?」
「よーし!早く飯食って解散!」
『じゃあ私食べ終わったから先に行くね?』
食器を片しているとみんなが顔を寄せ合って何か話をしていた。
みんな、仲いいなぁー。
そんな風に思いながら私は一足先に食堂を出た。