第9章 7月8日、合宿2日目。
車の方に戻ると荷物を詰め終わったみんなは合宿でできた友達…いや、ライバル達と話をしてるみたい。
日向くんとリエーフくんは「負けねー!」なんてお互いに言いあって笑いあってるし。
あれ?
リエーフくんがこっちに走ってくる?
え?
これどういう状況?
なんで私リエーフくんに抱きしめられてるの?
「夏休みまで椎名さんに会えないなんてさみしい!
電話とかしたいんですけどいーですかー?」
『いいけど…周りの目線が…』
「そんなの気にならないです。椎名さんの連絡先聞く方が大事!」
そういうとリエーフくんは私のスマホを勝手に開き、メッセージアプリの個人番号を勝手に入力していく。
ちなみにハグはされたまま。
「っと、これでOK!後で連絡しますねー!じゃあまた!」
やっと離れたと思ったら頰に温かいものが触れた。
「ねえ…灰羽…なにやってるの?」
上から声がしたかと思ったらぐいっと後ろに引っ張られる。
蛍君だ。
「うちの運転手、動揺させないで欲しいんだけど。行きますよ…」
『あ…うん。』
「椎名さーん!またねー!」
蛍くんに引きずられるようにして車に戻ろうとすれば、自分のチームに戻ったリエーフくんが黒尾くんにげんこつを食らっていた。
車に戻り運転席を開けようとすれば、ふいに耳元で声がした。
「僕の方があいつより好きデショ?」
恥ずかしいこと聞くなぁ…
でも…
『当たり前でしょ!』
私は返事をしながら蛍くんに、にこりと微笑んだのだった。