第2章 あたしのコンプレックス。
「お、お、お邪魔します」
何回も来てるけど未だに渚の家には慣れない。
渚の家、ってだけでめっちゃ緊張するの!
「そんなかしこまらなくたっていいよ。
どうせ母さん居ないし。
お茶か何か飲む?」
「うん、ありがとう」
渚はよく気が回る。
「はい、麦茶だけど」
「ありがとー」
貰った麦茶を一気に飲み干すと、空になったコップを机の上に置いた。
「相変わらずイイ飲みっぷりだね。
なんか清々しいよ」
「あ、あはは。
なんか恥ずかしいな」
床に座るのが1番落ち着くから、そのまま床に座っていた。
「ねぇ、渚」
「どうしたの?何かあった?」
大丈夫?、と顔を覗き込んでくれる。
「渚にコンプレックスがあるように、あたしにもコンプレックスがあるんだよ」
「沙織にも?
僕それ初めて聞くかも」
「だって恥ずかしいし…。
茅野ちゃんぐらいしか相談出来る相手居ないし」
「茅野だけ?」
案外鈍感な渚は首を傾げる。