第4章 ボクと天蓬
ボクの心の声が聞こえるはずもなく、2人はボクが観世音菩薩とあったときの反応について話し合っている。
そんな二人に小さくため息をつきながら、桜並木を手を引かれて歩くボクは思いのほか二人のことを気に入っているのかもしれない。
なぜならそんな二人に呆れはしても、話し合いをやめさせる気も、手を振りほどく気も全く起きないのだから……。
どうしてだろう?
如来以外に頭を撫でさ出たことも、触れさせたこともないはずで……それどころか、名前さえ覚えたこともないはずなのに。
そしてふと考える。
周りにいた女官や兵たちとこの二人は何が違うのか……。
そして思いつく。
ボクを見る目が違うのだと。
2人のボクを見る目は如来と変わらない。
汚らわしいものを見るような、異物を見るような眼ではなく、ボク自身を見てくれていた。
だから、ボクは2人を如来と同じように見ていたのか。
納得するとそれが一番の理由に思えるから不思議なものだ。
それと同時になぜかこの二人との付き合いは長くなるような予感がした。