第4章 ボクと天蓬
男は優男という言葉が似合いそうな、ふんわりとした雰囲気をまとった男だった。
苦笑しつつこちらへ来ると、男はゆっくりとしゃがんでボクと目線を合わせる。
「初めまして、僕の名前は天蓬と言います。うちの大将がすみませんねぇ、迷惑かけちゃって」
捲簾「なんだよ、迷惑なんてかけてないだろ? なぁ、蘇芳」
蘇芳「……ボクの名前は蘇芳。捲簾は、一応迷惑はかけられてはいないが、子供っぽいところを直した方がいいと思う」
天蓬の挨拶に捲簾がふくれっ面で反論するのを聞き、微妙にではあるがかばいたてつつ、ほんのり注意を促しておく。
まあ、いうところ迷惑までは言ってないが困ってはいたので、ほんのり先生にチクっておこうという子供の心境だと思ってもらいたい。
ボクの返答を聞き、天蓬と捲簾はぽかんと呆けた表情をすると、天蓬はブフッっと吹き出し、捲簾はギャーギャーわめき始める。
捲簾「なんだよ子供っぽいって! 俺はそんなに子供っぽくないぞ!!」
天蓬「いやいや、そんなところが子供っぽいと蘇芳も言ってるんですよ? 少しはこの落ち着ている蘇芳を見習ったらどうですか?」