第14章 虹のカケラ <双子5歳>
「ただいまー」
「ただいまー」
和の声に続いて智の声が聞こえたと思ったら足音はリビングには直行せずそのまま洗面所へ。
二人して仲良く手を洗うと玄関に置き去りにしたリュックサックの中身をがさごそとあさりはじめる。
保育園に持って行っている水筒をそれぞれの新幹線型のリュックサックから取り出すと両手にもってリビングからキッチンへと運び込む。
「「はい、これ」」
声を揃えてそれぞれの水筒をキッチンで夕食の支度をしている潤に押し付けるとそのままリビングへと消えて行く。
すぐさまリビングのテレビにスイッチを入れて真剣そうな顔で見始める二人。
テレビの画面に映るのは気象情報専門チャンネル。
二人はものすごい形相で最近発生した台風の進路予想図を見つめていた。
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保育園の最高学年になると普段の行事の他に、卒園に向けてのスペシャルな行事がいくつか入る。
双子だけじゃなく、クラスの子どもたちも皆、そのいずれもをことのほか楽しみにしている。
今年の春、卒園していった一学年上の子どもたちがその行事を楽しんでいるのを間近で見ていたから…。