第5章 Fantastic Version <双子2歳>
保育園を出た翔は駅まで歩き、電車に乗った。
ディズニーリゾートの最寄り駅、舞浜に降りるとそこは既にディズニー一色。
待ち合わせは、オリエンタルランド社の本社前と昨日の打ち合わせで言われてたので、そこそこの距離を歩くことになる。
仕方ないと思って歩き始めると後ろからクラクションが鳴る。
振り替えると助手席から横山の顔。
「翔くん、みーっけ!乗りや」
横山が後部座席を指す。
暑い中歩くのは出来れば避けたかったので遠慮なく乗り込んだ。
「お疲れさん、保育参観終わったん?」
横山が後ろを向きながら聞く。
「うん、キリのいいところで切り上げてきた」
「なんや、最後まで観てたらよかったやん。
集合までまだ時間あるやろ」
横山の声に翔は言う。
「いやさ、最後までいて、急に3人居なくなったらさすがに寂しいでしょ?
だから雅紀たちがいる間に出てきたの」
「ほー、パパはやさしいなぁ」
からかうように言う横山。
「ほんとは、翔くんが辛くなるからじゃないん?」
「お前…なんでわかったの?」
図星をさされて慌てる翔。
「俺も経験あるし、弟たちで」
「あぁ…そうか」
横山が極度のブラコンなのを思い出した翔。
「あのー着きますが…」
運転してたスタッフが遠慮ぎみに割り込む。
にやにやしてる横山の顔を気味悪そうに見ていた。