第6章 ・お出かけしましょ
「しかし問題がある。」
「何でしょう。」
「どこに行けばいいかわからない。」
「まあ、文緒だもんなぁ。」
瀬見が苦笑した。当世風でなく読書好きのせいか家からあまり出ないあの義妹である、想像がつきにくいのは仕方がない。
「一般的にいいのか駄目なのかはわからないけど、」
大平が呟いた。
「この際文緒さんに行きたいとこないか聞いてみたら。」
「獅音、それナイス。」
天童がパチンと指を鳴らす。
「わかった。」
若利は決めた。川西が率先して言い出すのなら相当の事態だと解釈したのである。
「やってみよう。」
大平がそれがいいとニッコリし、多くがやれやれとなった所で五色があのっと声を上げた。
「文緒は多分わりと静かな所が好きだと思いますっ。」
「そうか。覚えておこう。」
若利は呟いた。
「お前あの嫁の事になると何気に協力的だな。」
若利が背を向けたのを見計らって白布がボソリと五色に言う。
「そ、そんなこと。牛島さんはライバルですけどそれとこれとは別ですっ。」
「あれまさか工、文緒さんの事。」
「違います川西さんっ、どうせ友達なら笑ってた方がいいってだけですっ。」
「へー。」
「太一、その辺にしとけよ。さっきといいお前マジで最近悪ノリし過ぎだろ。」
「一緒になって牛島さんをペンギン扱いした賢二郎に言われてもなー。」
「殴りたくなってきた。」
次章に続く