第40章 ・義兄、遠征中の話 終わり
義兄が余計な事を喋った疑惑—生憎事実だが—の影響は小さくなかったが言っても文緒はやはり義兄が戻るまでは呑気にしていた。例えばこんな風だ。
「瀬見さん、流石にそれはどうかと。」
「そうかぁ。俺的にはこの柄好きなんだけどな。」
「瀬見さんはこっちの写真みたいな服がお似合いだと思います。」
「うーん、たまには試してみっか。」
「あーっ、文緒ちゃんが英太君と不倫してるーっ。」
「違いますっ。」
「てめえ天童っ、人聞きの悪い事抜かしてんじゃねえっ。」
「だって若利君留守にかこつけて2人きりで喋ってんじゃん。」
「お前があんまりにも人の私服ダセエダセエ連呼すっから相談に乗ってもらってただけだ。そもこの雑誌寄越してきたの誰だよ。」
「俺だけどさ、若利君がいない隙に文緒ちゃんと2人きりで見てるなんてあっやしー。」
「天童そこになおれぶっ飛ばすっ。」
「おおっとこっわー。」
「んで文緒、お前は投げてもいいもん探すな。」
「まあ何て事、瀬見さんまで私がいつもそうしてるみたいに仰るなんて。」
「違うとは言わせねえぞわかったらポケットから手え出せ、まさかあのうっすい端末投げるってな馬鹿はしねえだろ。」
「はい。」
「よし。」
「ホント第二の兄貴ダネ。」
「という訳で天童さん、この件は2月まで取っておきますね。」
「ちょっと英太君この好き勝手言うロリに言ってやってっ。」
「安心しろ、俺もしこたま豆ぶつけてやっから。」
「ストレス発散かよっ。」
こんな事もあった。
「早くしろよ文緒。」
「五色君、これ何だかおかしくない。」
「おかしかねーよ、お前の手が届かないんだからしょうがないだろ。早いとこそこ拭けよ、お前薄くて軽いけどこの体勢わりときついんだぞバランス的に。」
「何か言った。」
「何もないから雑巾こっちむけんなっ。」
「そう。にしても掃除道具入れの上拭こうとしたの失敗だったかな。まさか肩車されちゃうなんて。」
「何か言ったかっ。」
「何でもない。」
「そうかっ。」