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【ハイキュー】ウシワカイモウト第二部

第31章 ・ウツイの娘 終わり


天童の予想どおり、若利と一緒に帰宅した文緒は若利にムギューとされていた。

「あの、兄様。」

いつも通り義兄の部屋で若利の膝に乗っけられた文緒は呟くも義兄は返事をしない。いつも以上に離してなるものかといった様子だ。

「私はもう大丈夫です、落ち着いてきました。」

すると義兄はぼそりと言う。

「俺が落ち着かない。」
「何て事。」
「当然だ、危惧していた事が起きたのだからな。実際母さん達も心配していた。」

確かにその通りで大した買い物ではない割に戻りが遅かった事を義母と義祖母は心配していた。おまけに一緒に戻った若利から事の概要を聞くと傷はないかと言いだして顔や手などを確認する始末である。

「私はやはり悪い娘なのでしょうか、何かにつけて兄様とお母様達にご心配をかけてばかりです。」

しょぼんとする文緒の頭を若利がなでる。

「油断して欲しくはないが妙な思い込みはやめろ。」
「兄様。」

文緒は呟いて自分を抱きしめる義兄の両腕をきゅうと握る。握りすぎたかもと思ったが実際のところ当の若利は平気なようだった。

「まだ何か不安か。」

文緒の手に目をやり若利が尋ね、文緒は何というかと呟いた。

「ここしばらく意識してなかった事を思い出して。」
「何を。」

聞かれて文緒は目を閉じる。あいにく思い出した事はよろしくない内容である。それでも口に出さないと自分は爆発してしまうかもしれないと思った。

「父のお葬式の時親戚の人達が言ってた事です。直接私にではありませんが。」
「具体的には。」
「あの娘はどうなるんだ誰かが引き取るのかって話から始まってうちは引き取る余裕がない、まではよかったんです。ただ相手の人がそもそも裏切り者の娘など誰が引き取りたがるんだと言ってました。」
「お前の母親は確か」

若利の呟きに文緒は頷く。
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