第20章 グレイ scene2
「はい。翔、これつけて?」
「え…?」
智くんから渡されたのは、真っ白な猫耳のカチューシャ。
「な、なんで?」
「なんでも。さ、つけて。もう和也くるから」
「え?ニノも来るの?」
今日は3月15日の深夜。
5人でのレギュラー収録が終わって、強引に智くんの家に連れてこられた。
「ねえ、なんなの?何をするの?」
「ふふ…」
智くんは笑って俺の顎をくいっと上げた。
そのまま手を離すと、俺の頭に猫耳のカチューシャを着けた。
「思った通りだ…よく似合う…」
その時、智くんの部屋にニノが入ってきた。
「あらあら…もう始めちゃった?」
手には紙袋を二つ持ってる。
「え…?なんで鍵…」
「気になる?翔さん…」
ニノはいきなり俺の方に近づいてくると、キスをした。
「今日の為に借りただけだよ…?安心した?」
「そんな…」
「…翔は欲張りなんだね…俺も智も欲しいの…?」
そう…俺は…
ずるいとはわかってるけど、智くんもニノも両方手に入れていたい。
二人の手の中に入っていたい。
ぬくぬくと二人を、味わっていたいのだ。
わかってる…
酷いことしてるって…
でも
「…欲しい…」
ニノの目が、キラリと光った。