第20章 グレイ scene2
暫くそのままの姿勢でいると、スマホが鳴った。
慌ててカバンからスマホを取り出すと、メッセージが入ってた。
翔ちゃんからだった。
「…え?」
”向こうについたら話したい”
…なにを…?
そっと隣を伺うと、翔ちゃんは寝たふりしてる。
その表情からは何も伺えない。
…翔ちゃん、俺たち別れたんだよ?
今更何を話すんだよ…
苦しくなるだけだろ、お互い。
「ダメだって…」
ぽつりと呟いて、また俺は毛布を頭から被った。
付き合っていた頃のことが、頭をぐるぐるしている。
お互いに好きだってわかってるのに、言えなかったあの頃。
少し手が触れるだけで、飛び上がるように心臓が跳ねたこと。
目と目があった時は、一日幸福だったこと。
幸せで…しあわせで…
時折、夢にみて泣きながら目覚めることもあった。
それも、今では減ってきた。
やっと踏ん切りが付きそうなのに。
翔ちゃん、なんで…?
「相葉さん起きてー!着いたよー!」
ニノに起こされて、いつの間にか眠ってしまったことを知る。
今日のロケ地は、牧場。
皆に続いてぞろぞろとバスを降りる。
駐車場から、楽屋代わりに使う建物へ誘導された。
荷物を置いて、着替えてメイクに入る。
早々に終わらせてみんなを待っている間、ぼけっと外を眺めていたら服を掴まれた。
「雅紀…」
翔ちゃんが、立っていた。