第20章 グレイ scene2
珍しく5人でロケ。
こんなこと、ほんと久しぶりで。
ロケバスに揺られながら、皆の声を聞いている。
「相葉さん?元気ないね」
ニノが俺の顔を覗き込んでくる。
「そう?昨日もロケだったからね…」
「なんか気持ち悪い…」
「おまっ…失礼だろ!」
「やー!大野さーん!」
「ふぁ!?なに?」
寝ていたリーダーにニノが抱きついて、リーダーがヘンな声を出した。
潤と翔ちゃんがそれを聞いて爆笑している。
今日はロケバスだから、いつものジャンボタクシーよりも広い。
それぞれ思い思いのところに座っているのに、ニノとリーダーはくっついて座ってて。
ある意味うらやましい。
通路を挟んで隣の席。
俺はこの人から逃げた。
「雅紀。しんどいなら、寝てろよ」
その人は、そう言って俺に毛布を手渡してくれた。
「…ありがとう。翔ちゃん」
そういうと、にっこり微笑んでまた座席に凭れた。
白い横顔を少し眺めて、俺は毛布を頭から被った。
ごめん…翔ちゃん。
俺が弱いばっかりに。
どう考えても、未来なんて見えなかったんだ。
俺たちは、男同士だから。