第18章 ポンパドール scene2

ニノの動きが止まった。


切ない顔で、智を見上げた。


「わかった…今晩空けるから…」


「じゃあ…ホテル取っておく」


「だから、今はもうやめよ？」


「わかった…」


智は最後にまた、ニノの唇を貪ってから身体を離した。


「もお…バカ…」


俺は二人に見つかる前に階段を降りた。


今…


何が起こった？


智がニノと浮気…


それに脅迫してた。


いつからあの二人…あんな関係なんだ…？


俺はキスまでしか許してないのに…


智、オスの顔してた。


ニノ…あんなに妖艶な顔、見たことない…


混乱する頭を抱えて楽屋に戻った。


暫くすると二人も戻ってきて、何食わぬ顔でメイクを始めた。


どういうこと…


智、俺だけじゃ足りないの？


そんなにニノがいいの？


翔くんと雅紀はなんにも気づいてないの？


ねえ…


俺、どうしたらいいの？




その夜、智は遅くまで戻ってこなかった。




次のレギュラーの収録日。


俺は悶々としたまま仕事をこなした。


智はいつもと変わりなく可愛かった。


俺とのセックスも普通だった。


いつもとなんにも変わらなかった。


なにが…なんでこんなことになってるんだ？