第18章 ポンパドール scene2
「智、ちょっとこっちきて?」
「んー?」
トテトテと歩いて俺の膝に座る。
「なあに?」
俺はピンを取り出して、大野さんの前髪をセットする。
ぷっくりと膨れさせて、シュっとスプレーをかけた。
「あ。またポンパドール」
「かわいい。智…」
「なあに…?また後ろ暗いことするの?」
「し、しないよ!」
「潤がこの髪型してくれる時って、俺のご機嫌とるときじゃん」
「もーそんなんじゃないよ…単純にかわいい智が見たかっただけ」
「そうなの?」
「そうだよ?」
ぎゅっと抱きしめると、智は俺の首に腕を回した。
「じゃあ信じてあげる」
そう言ってそっと俺にキスをした。
「ん…智、もっと…」
智が俺を求めてくれる、この瞬間がたまらなく好きだ。
「潤…」
俺の服をぎゅっと握って、もっと欲しがるその姿も、なにもかも俺は好きだ。
「好きだよ…潤…」
その言葉に酔いそうになる。
だけど…
あなたは俺だけの物じゃない。
俺だけのあなたじゃなくしたのは、俺。
俺のせいなんだ。
わかってるけど、湧き上がってくる嫉妬を抑えることができない。
「智…ねえ…そこで、服脱いで?」
今日も俺は、無理なセックスを強要する。