第2章 アザリア
「ん…しょう…くすぐったい…」
潤の意識が戻ってきた。
俺はカバンからさっき眺めていたものを取り出した。
それを自分の手首にはめた。
繋がってるもう片方を潤の手首にはめた。
ジャラっと音がする。
「え…?」
潤の目が開いた。
繋がってる手首を持ち上げて、目の前に持ってきた。
「な、に?これ…」
まだ寝ぼけていて、把握できていない。
「翔…?これ、なに…?」
ジャラっと音がして、それが滑り落ちる。
輪の径の限界まで下がると止まった。
「手錠…?」
「そうだよ」
「なんで…?」
俺は微笑むと、バスローブを滑り落とした。
裸になった俺を見て、初めて自分も裸になっていることに気づく。
「え…?え…?なにこれ…翔くん?」
戸惑う潤の唇を、俺の唇で塞ぐ。
ちゅっと音がして、潤の口は閉じられた。
「ハッピーバースデー、潤」
時計は、きっかり0時を指していた。
「今年のプレゼントは、俺だよ」
そういうと、潤が微笑んだ。
「…最高のプレゼント…」
そう言って、俺を抱き寄せた。
俺達は、そのまま繋がった。
手首には、二人をつなぐ二つの輪っか。
銀色に輝くその輪っかが、俺達の気持ちの証。
「好きだよ…潤…」
そう言うと、また微笑んだ。
今まで見た中で、一番かっこいいよ。
潤。
【END】