第17章 ショコラ scene2
「と、とにかくな?一回、先生に会いに行こ?」
「嫌っ」
「雅紀!」
「嫌だもん!」
「雅紀!お手!」
ペタっと、雅紀は俺の手に右手を載せた。
「おかわり!」
今度は左手を載せた。
「じゃあ、先生のところ行くな?」
「わん!」
「よーしいい子だ!」
わしゃわしゃと髪を撫でると、雅紀はやっと我に返った。
「えっ…今のなに!?」
「だから…お前、憑いてんの…」
「今の…だって…今の…」
「…そうだよ…お前、犬が憑いてんの…」
「い、いぬぅ!?」
あまりのショックに、暫く雅紀は放心していた。
俺はその間、風呂の準備をしてやっていた。
リビングのソファで、雅紀はボーッとしている。
人間ならまだしも、まさか動物の霊が憑くなんて…
あまりにも想定外過ぎた。
風呂場から戻ると、雅紀が俺を見上げた。
「翔ちゃん…俺って、動物に縁があるのかな…」
「まあな…普通、動物霊って人間には憑かないらしいよ?呪い系の特殊なやつ以外」
「やめてよ…怖い…」
「雅紀のはそういうんじゃないって、先生言ってたよ」
「そうなんだ…良かった…」