第16章 グレイ scene1
そこには猿のような生き物にミルクをやるニノが映されていた。
そして何度もリピートされているのがこのセリフだ。
「ショウちゃんミルクあげるよ~」
それが何度も何度も再生されている。
「オイ…なんだよ、これ…ニノ」
堪らずニノが爆笑した。
つられて雅紀も笑い出した。
潤はラグに突っ伏している。
「オイっ…お前らっ!」
俺は動画の再生を止めた。
放っておいたら、あと15分再生されるところだった…
「もおお…なんだよこれ…」
ぷりぷりしながらソファに座ると、雅紀がむくりと起きた。
「翔ちゃんミルクあげるよ~」
「なっ…いらねえよ!」
にやにやして雅紀がこちらに歩んでくる。
嫌な予感しかしねえ…
じーっとカーゴパンツのジッパーを下げた。
「やめろよっ…何してんだよっ」
後ろで潤が準備体操してるのが見えた。
ニノも何やら立ちあがって手首と足首を解してる。
「ちょ…マジで…やめろって…」
俺は立ちあがってリビングのドアを目指した。
「どあっ…」
床に寝ている智くんにおもいっきり躓いてコケた。
「んぎい!?」
智くんがすごい声を上げて起きた。
上に乗っかってる俺をみてあんぐりと口を開けた。
「翔ちゃん、また俺のこと襲うの?」