第10章 チャイニーズ・ローズ
「翔くんっ…」
裸足のまま、表に出されて。
翔くんの車が止まってた。
強引に車に押しこめられると、翔くんが運転席に乗り込んできた。
「翔くんっ…だめだよっ…そんな酔ってるのに!」
「うるせえ…誰のせいだと思ってんだよ…」
「え…?」
ガクンと車が動いたかと思うと、すごいスピードで車は走りだした。
「ちょっ…翔くんっ…」
「ちゃんと座れ。舌噛むぞ…」
起き上がってなんとかシートに座ってベルトをする。
「翔くん…ねえ…」
「黙ってろよ!」
ハンドルを拳で打ち付ける。
「翔くん…」
こんな荒い運転をする翔くん、みたことなかった。
暫く走ると、あのマンションに着いた。
翔くんは、俺を抱く気だ…
翔くんがフラフラしながら歩いて行く。
「翔くんっ…」
「お前が…」
「え…?」
「お前がまだ…俺のことすきなら…ついてこい」
俺の顔を見もしないで…
翔くんはまた歩き出した。
「ずるい…」
「なんとでも言えよ…」
身体を抱えるようにして、歩いて行く。
「翔っ…」
翔くんが振り返った。