第1章 しあわせはここにある-parallel-
そのまま、かずは俺の中に自分を残したままとろとろと眠りだした。
俺はとても愛おしい思いでかずの髪を撫でた。
かずの体重がだんだん重くなってくる。
心地いい。
そのまま俺も眠りに落ちていった。
とても幸せな気分で。
目が覚めたら、部屋の中が真っ暗になってた。
かずは俺の隣でくぅくぅと寝息を立てている。
よだれが出てたから、舐めてやった。
後ろの床がミシッと鳴った。
ぎくりとして振り返る。
暗闇に人が立っていた。
「だ…れ…?」
その人は何も答えない。
急に恐怖が襲ってきた。
鍵…閉めてなかった…?
その人影は足音を立てずにこちらに歩んできた。
「翔くん…」
安心した。
「あ…ごめん…こんな格好で…」
そんな場合じゃないんだけど、なんだか謝っていた。
恥ずかしい…見られてしまった。
翔くんは俺の腕をぐいっと掴んだ。
「え…?どうしたの?」
そのまま何も言わず翔くんは俺をひっぱり起こした。
強引に腕を引っ張られて、バスルームへ連れていかれた。
「しょ、翔くんっ!どうしたの!?」
翔くんは俺の顔も見ない。
言いようのない恐怖が沸き上がってきた。