第9章 きみどり scene4
「俺が…えっちのことばっか言うから…」
わかってるじゃん…
「もう…あなたのお家、出る…」
「えっ…」
「だって、あなたそればっかじゃん!」
「かず…」
「俺、もっとあなたと一緒にいたい…一緒にテレビみたり、笑ったり…えっち禁止してから、ずっと楽しかった!」
「かず…ごめん…」
「なのに…智は…そればっか…」
「ごめんね…かず…」
そっと智が俺を抱きしめる。
「腰だって、すっごく心配したのに…」
「ごめんね…」
「だからもう…」
「いやだ…それだけは」
「だって…!」
「離さない…かず…」
ぎゅううっと抱きしめられて、苦しい。
「離して…」
「だめ…俺んちに帰ってきて?かず…」
「さと…」
「好きだよ…ごめんね…俺…ブレーキがきかなくて…」
そっと腕を外して、俺の顔をみた。
「約束する。かずに無理させないから…」
硬い表情。
ああ…決心したときの顔だ…
「ほんとに…?」
「うん。誓う」
俺の手をとって、甲にちゅっとキスをした。
「俺、もうかずを泣かさないって決めたんだ」
ぎゅっと口を引き結んだ。