第9章 きみどり scene4
「やっぱり…こっちのが落ち着く…」
「ふふ…そうだね…」
腕の中のあったかいぬくもり。
たまらなく幸せだ…
「でも…たまにはいいんじゃない…?」
「えっ!?」
「たまには、よ?」
いたずらっぽく微笑むと、抱きしめていた腕を解かれて、かずの胸に抱かれた。
「ちょっ…かずっ…」
「あー…キモチイイ…」
「えっ…?」
「抱き心地いいよ…智」
「そんな…」
くすくす笑いながら、離してくれない。
「今日は、このまんま居たいな…」
「えー…」
「いや?」
「いやじゃないけど…俺もかずをだっこしたい…」
「じゃあ、かわりばんこね?」
「うん…それならいい」
暫くかずの腕に抱かれてた。
昨日の翔ちゃんの傑作な顔の話とか、二人にハメられたとはどういうことなのか聞いてたら、外で物音がし始めた。
「あ。みんな起きたのかな?」
かずが起き上がるから、ぐいっと腕をひっぱった。
「だめ。今度は俺がだっこするの」
そう言ったら、びっくりした顔をして…
そのまま花が咲いたような笑顔を見せた。
…もう…どんだけお前のこと好きにさせるの…
「いいよ。さと…だっこ、して?」
そう言って、俺の胸に飛び込んできた。